conceptさんえすの想い

“自分の家で生きる”

さんえすがこだわるのは、ご利用者さまの「自立支援」
ご家族さまの「介護負担軽減」
さんえすは在宅介護に本気で取り組みます。

Interviewインタビュー

代表取締役野村 由治Yoshiharu Nomura
  • デイサービスセンターさんえすを開業したきっかけは?

    野村

    「家で暮らすということが一番幸せなかたちじゃないかなって、じゃあ在宅を支援できることをやりたいなって」

    きっかけは、愛媛の実家の祖母との出来事ですね。

    その当時ぼくは5,6年くらい実家に帰ってなかったんですけど、その間に祖母は要介護5になっていて、 寝たきりで意思疎通が出来ない状態になっていたんですね。 そのとき祖母の介護は祖父がすべて行い、そのおかげで祖母はずっと家で生活を続けていたんです。

    それである時ぼくが久ぶりに実家に帰った時に、祖母の部屋に入ったら寝たきりの祖母がぼくの名前を呼んだんですね。「よしくんか?」と。

    その時、まわりに他の家族もいたんですがみんなすごい驚いていたんです。 あとで話を聞いたら、その時の祖母は、毎日一緒にいる祖父も、ぼくの母親、つまり祖母からして自分の娘もわからない状態だったそうなんです。それなのに何年かぶりに会った孫の顔を見て、名前を呼んだことにすごく驚いていたんです。

    その3ヶ月後くらいに祖母は他界してしまったのですが、祖母はあの時なぜぼくの名前を呼べたんだろうと考えた時に、やっぱり「自分の家」、祖母がずっと過ごしてきた「自分の家」に孫が遊びに来た、という状況があったからそうなったのではないか、と思ったんです。

    これが仮に、祖母が施設に入っていてそこにぼくが会いに行っていたら、たぶんそうはなっていなかったんじゃないかと思います。

    やはり祖母の人生、つまり自分が嫁いできて、娘を産んで、その娘がお嫁にいって、たまに孫を連れて帰ってくるようになって、、、という人生を過ごしてきた大切な「自分の家」にいたから、あのとき、ぼくのことも認識できたんじゃないかな、というふうに思ったんです。

    祖母は亡くなるその最後まで祖父の毎日のサポートがあって、ずっと家で生活を続けることができましたが、それは祖母にとって本当に幸せなことだったんじゃないかな、という想いがありました。 それならば、介護業界で起業しようとなった時に、高齢者の方がぼくの祖母のように自分の家でずっと生活を続けられるための支援ができることをしよう、と。
    それで在宅介護の要であるデイサービス、それも在宅介護の支援に徹底的にこだわったデイサービスをやろう、というのがきっかけです。

  • そんなきっかけで始められた「デイサービス」の役割についてどのようにお考えですか?

    野村

    「家で生活を続けるための支援をする、それがデイサービス本来の役割」

    やっぱり「在宅の支援」ということが一番の役割ですね。

    高齢者の方は、色々な原因から心身機能に変化がでてくる中で、家で生活を続けることが「もうムリだ」と思って施設入所になっちゃうんですよね。その「もうムリだ」ってなる理由も本当にひとりひとり違って、たくさんあるんですけど、それをひとつずつクリアして家で生活を続けるために通ってもらうのがデイサービスで、それが本来の役割というか存在意義だと思うんです。

    だから、デイサービスにきて、ぼくたちがすべて身の回りのお世話をさせて頂いて、ご利用者さんは何もせずにただ「あぁ、楽だなぁ」「ここに来たら何もしなくていいからな~」なんて過ごしてもらうのは、デイサービスの役割とか介護の仕事とは言えないと思うんですね。
    ご利用者さんができることはやってもらった方がいいし、できないなら、なにができないのか、なんでできないのかをこちらが把握して、できるようになる為に、なにをしていったらいいかを考えるのが本当の介護の仕事だと思っています。

    施設に入りたくて入る人っていないと思うんです。絶対。だから上手に動機づけできれば、ご利用者さんも自分でやってくれるはずだと思っています。

  • ではその役割のためにさんえすさんで心がけていることや取り組みを教えてください。

    野村

    「できるだけご利用者さんと話す、世間話でもなんでも、接する時間を一番多くとって欲しい」

    ウチではご利用者さんとコミュニケーションをとることが職員にまず一番にやってもらっていることなんですが、そもそもやはりウチは「在宅の支援」ということが一番で、ご利用者さんが自宅で困っていること、不安に思っていることを解消していくのがデイサービスだと思っています。

    なので、まずはそのご利用者さんが今どういう状態で何がどこまでできて、何ができなくて困っているのかを知らないと支援もできないじゃないですか。だからそれを知るためにやはりコミュニケーションをとる必要があるんです。

    ご利用者さんと普通に話をしているなかで、ポロっと「家でこういうことで困ってるんだわ」とか「昨日こうで困ったわ」といったようにヒントが出るんですね。

    そういうヒントを得るためにできるだけご利用者さんと話す、世間話でも何でも、接する時間を一番多く取って欲しい、というのは職員全員にお願いしていることですね。

  • 利用開始前にヒアリングなどをして状態を聞き出すということではなくて、
    利用して頂いている 日常のコミュニケーションで利用者さんのことを理解していくということですね。

    野村

    もちろん一番最初にアセスメントはするんですが、やっぱりご利用者さんも初対面の人に本音でなんでもかんでも教えてくれないんですよね。
    ウチに来て一緒に時間を過ごす中で少しづつお互いどういう人間かわかっていって、そういったなかで初めて出てくるヒントもあるんですね。

    ご利用開始前にご自宅に行ってご家族さんと一緒にお話をお伺いしても、ご家族さんの前だと本音を言えない方もいますし、 どうしてもご家族さんの希望だけになってしまうこともあります。

    だからウチに来て慣れていって話していくうちに、全然最初の印象と違う、っていう方もたくさんいらっしゃいますし、 やっぱり時間を共有していくなかでのコミュニケーションから得られた情報というのが一番重要だなって思いますね。

    そのあたりは、介護は究極の「対人サービス」なので、まずは人と人との関係が何よりも大事になりますよね。

  • 「在宅支援」という部分で、具体的に取り組んでいることはありますか?

    野村

    「自立して頂くことが一番で、そのために必要なことを考える。それが本当の介護」

    これは職員全員で一度話し合いをしたのですが、「自立支援」、やはり自立して頂く、ということが一番だろう、となりました。

    じゃあ「自立支援」を施設のなかでするにはどうしたらいいか?
    まずはご利用者さんが自己選択・自己決定・自己遂行をやりやすい環境を整えなければいけない、ということになり、ウチでのご利用者さんの一日の導線を考えたんですね。

    朝、玄関から入ってきて靴を脱いで、上着を掛けて、連絡帳を所定のカゴに入れてカバンを置く、自分の名札を探して取る、洗面所で手洗いうがいをして、席に行く、というこの導線のなかで、ご利用者さん自らやってもらいやすい環境をつくる工夫をしているんですね。
    靴を脱ぐとか上着を脱ぐ、カバンを置くというのも一つの大切な生活動作ですからね。

    そのなかで例えば、あるご利用者さんが上着を脱げないことに気付く。なんで脱げないのか?肩の可動域が狭くなってしまっているのか?ボタンをはずす指の動きが難しいのか?そもそも上着を着ているという認識ができていないのか?とか、職員が普段からコミュニケーションをとったり観察をしていて初めてわかることです。じゃあ「どう支援していけば上着を脱げるようになるのかな?」を考えるのが、本当の介護の仕事なんだと思います。

    「過剰介護は利用者さんの能力を奪ってしまう」

    今は、着せる・脱がせる・履かせる、といったようにすべてやってしまう、お手伝いします、というのが介護の仕事みたいなところがあるんですが、そういう過剰介護は逆に利用者さんの能力を奪ってしまうので、うちでは「絶対にやらないでくれ」「じれったくても手を出さないでくれ」とお願いしています。